「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!」読みました。申告初心者にはおススメ

Twitterで流れてきた、「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!」という本を買って読んだのでレビューします。
書名が長い!
大阪淀屋橋の文教堂で検索機に入力するの面倒になりつつも、探して買いましたよ。

自分の勉強のために読んだというよりは、今後誰かに教えるときにまとまってる本があれば楽だなぁと思ったから。
漫画になっているものは比較的読みやすいですし。

本文は名探偵コナンかよってぐらい吹き出しと文字が多かったですが。解説漫画だし仕方ないよね。

総評

おおむね制度の紹介から実際にやることまでよくまとまっていて最初の一冊としては悪くなさそう。
以下のような点がまとまっていたのは好印象です。

  • 確定申告のために何の書類を用意しておけばいいか
  • 社会保険の制度上の仕組み
  • 経費に組み入れられるかどうかの大まかな指針
  • 基本的な自営業が使える節税の方法
  • 確定申告書の具体的な作り方
  • 出金伝票に関する説明(経理したことない人は存在を知らないこと多い)

特に確定申告の具体的なやり方が書いてあるのが特にいい。
仕組みを教える系の本だと、内容が古びることを考慮してか具体的な方法は別の「確定申告のやり方」みたいな本に任せていることが多いなか、ページを割いて国税庁のサイトで申告書を作る方法をガイドしているのは優秀。

本のよかったところ

フリーランスと税理士の対話式

この形式はわかりやすいですよね。
同系統の構成を取っている本だと、漫画形式ではありませんがきたみりゅうじさんの「フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。」とか。
あれもわかりやすくていい本だと思います。

クラウド会計でMFクラウド会計を推している

私がfreeeとMFクラウド会計だとMFクラウド会計推しってのが理由なんですけどね。
もしくはやよいの青色申告オンライン。

この二つを私が推す理由は既存の会計のルールに沿って設計されているので、世の中に出回っている経理の解説をそのまま使いやすいから。
freeeは結構独自路線で開発されているところがあるので、周囲にfreeeに詳しい人がいるならいいかも(先進的な機能開発は他社に先行している感じがあるので)。

経理会計にはクラウド会計ソフトが超おススメである理由

2018.11.12

確定申告書の作り方を書いている

上にも書いたけど、二回書くぐらい良いと思う。
具体的な方法をちゃんと書いてあるのとないのとでは初めての人の安心感が全く違うので。

また会計ソフトの導入をお勧めしつつも国税庁の申告書作成サービスの使い方を説明しているところがグッド。

会計ソフトを使えば申告書はソフトで作れるのでこの説明は本来不要なのですが、申告書作成サイトは国が作ったウェブサービスの中では断トツによく出来ていて、むしろ会計ソフトの申告書作成機能とか要らないのでは?
と思うほど。

本のイマイチだったところ

細かい話はあえて省略しているのだとは思うのだけれど、説明が明らかに足りてない、もしくは微妙だなと思ったところも何個かあったので、突っついておく。

電子申告についての説明がちょっと間違っている

これ、一番この本のダメなところだと思います。
正確に言えば去年まではオッケーだったのですが、今年発行された本であれば2020年度分所得から電子申告しないと青色申告控除額が65万から55万になる」ってことを書いておいておくべき。

さらに言うと「電子申告をするための機材は有料・コスパは悪いかも」と書いてあるのですが間違いです。
2018年分の確定申告からICカードリーダーがなくても、IDとパスワードによる認証方式で電子申告ができるようになりますので機材は購入不要です。
IDとパスワードは管轄の税務署に写真付きの身分証をもっていけば5分ぐらいで設定してくれます。ただ年明け以降は税務署が混むので早めに行くこと!

ぐらいは最低説明を入れておいてほしかった。

なおこのパスワード方式による電子申告ですが、マイナンバーカードを用いた電子申告が普及するまでの経過措置なのでいつかは終了するのですが、いつ終わるかはまだ決まっていません。最低数年はやるでしょう。

消費税のインボイスについても一言欲しかった

漫画外の解説でもいいからちょろっとね。
この本が対象読者としているフリーランスだと免税事業者が多そうなので特に影響大きいはずだけど、知らない人が多い。
2023年10月1日からインボイス制度が始まるので、長く読まれる本になるのであれば、さわりには触れておいてほしかった。

つける帳簿のチョイスがちょっとダメでは?

この本では青色申告のために以下の帳簿をつけると説明があります。

  • 現金出納帳
  • 預金出納帳
  • 売掛金元帳
  • 買掛金元帳

青色申告で言えば備え付ける帳簿はある程度自由に事業者が決めることができる。
ただし何を備えるかは税務署に届出ている必要がある。

それを踏まえて言えば「仕訳帳」と「総勘定元帳」だけで私はオッケー派。
もっと言えば仕訳帳さえつけておけば総勘定元帳は会計ソフトが自動的に作成してくれるし、上の四つの帳簿も自動的に作成してくれる。
最低限でいうなら、会計ソフト使うなら仕訳帳さえつけておけばいい。

買掛金元帳の本の中の説明がちょっと不安で「仕入れの未払い状況を記録する」と書いてある。
確かに買掛金元帳は掛で仕入れたときに記帳するのが一般的。
でもフリーランスなら特に経費をクレジットカードで支払うことも多いはずで「仕入れ」とは限らない。

現金主義と発生主義については少し文中に記載があったのだが、ついでに言えばクレカ払いも説明しておいてほしかったですね。

締めのコメントが「税金は知れば知るほどおトク」

知らなければ損するってほうが多くの人にとって絶対に正しいよね・・。

税制の隙間をついてギリギリの節税と脱税のせめぎあいをしたい人はそうかもだけど、普通の人はそんな面倒なことはしない。

最低限ちゃんとやらないと痛い目見る「かも」ってほうが実態に近い・・。

選外:絵が汚い

・・ごめんなさい。
内容に関係ないんですけど漫画の画面構成と、絵の線が汚いのでマンガ好きな人は気になる人多いかも・・。
私は結構気になりました。はみ出した線とか、描き文字の配置とか・・。

最後に

いろいろ書きましたけどおおむね人にお勧めできる本だと思いました。
特に最初にフリーランスとかになったばかりの人には!

とはいえうーん。って思ったところがあるのは事実なので、私はこの本を誰かにお勧めする時にはこの記事も併せて読んでもらうようにしたいと思います。