ローリスクかつハイリターンな投資ってあると思いますか?
そんなうまい話はないと思うでしょうか。
お調子者を戒めるための寓話であれば「うまい話はない」で終わるのですが、この現実社会ではどうでしょうか。
実は「ローリスクハイリターンな投資はある」というのが論理的な回答です。
ではどうすればそんな投資ができるのか、順番に説明していきましょう。
ちなみに「具体的にはこの商品を買え」みたいな話はありません。
目次
なぜ「おいしい話」は無いのか
そもそもおいしい話はなぜないのでしょうか。
開かれた金融市場(株とか債権とか為替とか先物商品とか扱ってる、いわゆる普通の投資・金融市場)では、リスクとリターンはきれいに比例関係を描きます。
しいて言えば金融商品の取引手数料がパフォーマンスを低下させるのですが、そもそもリターンとリスクは大体一致するのでしょうか?
それは市場に参加している投資家がみな同じ情報を分析をして取引しているので、だれかを出し抜いて稼ぐのは極めて難しいのです。
例えば株で考えてみましょう。
A社の株が今1万円とすると、それは1万円で売買が成立したということを意味します。
言い換えると、A社の株を1万円だと「割安と考えた人(買い手)」と「割高だと考えた人(売り手)」が同時に存在したことになります。
この売り手と買い手が常に同数存在しているということは非常に重要で、株価は投資のプロでも判断が分かれるような微妙な水準を常に行き来しているのだと覚えておいてください。
キーワードは情報の非対称性
なぜそんな微妙な価格水準を株価は推移するのか。
その答えは「情報の非対称性」です。
売っている側も買っている側も同じ情報を見て判断しているので「非対称性が存在しない」のです。
- 同じ決算情報を見て
- 同じ有価証券報告書を読み
- 同じようにIR情報に目を光らせ
- 同じようなアナリストのレポートを読み
- 同じように経営者にインタビューして
- 同じような判断基準で株価を判断する
また金融市場は世界中どこからでもどの商品でも誰でも自由に売買できるため、同じような判断域に収束するのです。
これが「相手を出し抜けない」理由です。
優位性こそがローリスクハイリターン投資の鍵
逆に考えると「おいしい話」がどこに存在するかが見えてきます。
結論から言えば「情報の非対称性」がある市場にはおいしい話がある可能性があります。
売り手と買い手の持っている情報に差があれば、その差を利用して割安で買えたり、割高で買えたりします。
情報の非対称性とは、情報が多い側の位置に立てば「優位性」となりますが、少ない側に立ってしまえばただのカモです。
たとえば不動産投資において東京の一等地の巨大なインテリジェントビルへの投資となれば建築に関する資料は英語にも翻訳され、資金も場合によっては証券化によって広く募れるため非対称性は小さくなります(なおこういう投資は信用力の大きさを活かした低利での借入を前提としたイールドギャップを得るのが正道です)。
ただ小さな物件であれば当然競合は少なくなり、そもそも物件情報自体が広く出回りません。
こういう市場では売り手と買い手の情報の非対称性が大きくなるため、「おいしい話」がまま発生します。
株式投資ではベンジャミングレアム氏がバリュー投資という優位性を市場に作りだして以降、その優位性が広く知られてしまったため、今ファンダメンタル分析を行ってもすぐさま優位性を築けるわけではありません。
同じようなアプローチをしているライバルが世界中にいるからです。
あなただけの優位性を作り出そう
究極の優位性とは「あなただけが知っている情報」です。
株式市場においてインサイダー取引が規制されているのは、情報の非対称性はあまりにも強力なため、公平性が大きく損なわれてしまうからです。
であればやることは一つです。あなただけの優位性を作ることに注力しましょう。
優位性とは相対的なものでしかないので、小さく区切ったプレイヤー群の中で勝れる要素を作れば、それを利用しておいしい思いをすることは可能です。
金融市場で優位性を気づくのが難しい理由は「全世界のプレイヤーが相手で、情報公開の法整備がしっかりしているから」です。
例えば田舎の閉鎖的な業界団体の中においてはちょっとしたITスキルが重宝されたりするのは十分あり得ることです。
もっと言えば簡単なプログラムを組むスキルを持った人は、ITベンダーの中にいても優位性はまずありませんが、アナログな事務員の中に混ざれば無双できる可能性はあります。
実社会のビジネスは良くも悪くも無差別級で、メジャーリーガーもリトルリーグのプレイヤーも何も区別されません。
相手が自分のスキルをよく知らないところに売り込みに行きましょう。
それが値段を釣り上げる近道です。